10年ぶりの大改訂

国語辞典の雄、広辞苑が10年ぶりの大改訂をして本日第6版が発売される。
ライバルとしては三省堂の大辞林、ユニークなものとしてはやはり三省堂の新明解国語辞典(通称・新解さん)もあるが、必ずと言っていいほど『広辞苑によれば・・・』として説明されることが多い。
自他共にそれだけの権威・信頼性を持った「ブランド」を確立しているものだといえるのだろう。
昨今は電子辞書やWeb上の辞書にとってかわられてしまった趣もあるが、やはり手許に置いておきたい一冊ではある。
かつての文学全集や百科事典のように結局は飾っておくだけとなってしまっていた書棚のお荷物にすることなく、その都度頻回に開いて使いたいものである。

日本語は論理的な言語ではないとする論もあるが、私はそうは思わない。
しっかりとした論理構築のもと、厳密なる議論をすることも可能である。
加えて、語彙の豊かな言語だと思う。
四季折々の美しさをもつ風土に培われた文化。微妙、繊細な心の襞に染みわたる様々な表現がある。

しかしそれほど語彙豊富な言語でありながら、なかなか適切な語句が見つからず、心情を伝えることができないもどかしさや悔しさを感じることがある。

闘病生活を送っている親族や友人、知人に対して「頑張って」・「お大事に」としか言えない。
亡母もよく、『こんなに頑張っているのに、「頑張って」と声をかけられると辛くなる』と漏らしていた。
ベストセラーにもなった鎌田實先生の著『がんばらない』・『あきらめない』にもある、<がんばらないけどあきらめない>というのが患者本人の偽らざる心境だといえるだろう。

クリーンルームに隔離され化学療法を受けている友人に対して、どのような声をかけることができるのだろうか。
3074ページ、とても片手では持つことのできない広辞苑のどこに、私も、そしていうまでもなく友人本人が<心にストンとおちる>ことばがあるのだろうか。
表紙に手をかざすと、そのときの心情に相応しいことばが記されているページが開く・・・、そんな辞書はできないものだろうか・・・。

この記事へのコメント

露草
2008年01月13日 12:15
JO談さん、こんにちは。
お久しぶりです。

わたくし、昨年は超多忙にてネット活動を自粛しておりましたが、その件もやっと目途がつき、昨年暮れからネット散策を楽しむ余裕ができました。最近再びこちらも拝読させて頂いております。

こちらの記事には、なぜか、話題への関心と感想に共感するところが多く、いつも頷きながら読ませてもらっています。

この広辞苑の改訂に関しても、先日ラジオのニュースで知り、大いに関心を寄せていたところです。このごろはインターネットや電子辞書等で言語検索が簡単にできるのですが、私はやはり、あのペラペラとした紙をめくりながら言葉を探す方が好きです。辞書をめくると探していた言葉以外の意外な言葉にも遭遇できるおまけ付きがまた気に入っているところです。(“以外”と“意外”をかけていますよー、気づいてね:笑)

これからまた、ときどきお邪魔するかも知れません。
よろしくお願いします。
2008年01月13日 13:08
露草様、本当にお久しぶりです。
お元気そうで何よりです。
懐かしいお名前と、抑制の効いた中にもキラリと光ることばで温かなコメントをいただき感謝感激です。
今後ともよろしくお願いします。

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